ALサービスは以前持っていた銘柄ですが、先日東証1部昇格+増配+増資を発表しました。今日の株価は少々持ち直したものの、このニュースが発表された翌日などは株価急落を招きましたね。

ステークホルダーでもないので、客観的な印象を示しておくと、既存株主様のおかげで東証1部に上場します。なのでお礼に増資するのねん、という桃鉄のキングボンビーみたいな感じですよね(←古いか)。東証1部上場+増資というやりかたは昨年も多くみられましたね(ポールHDとか)。

改めてALサービスにおける過去の業績をグラフ化するとその素晴らしさが分かります。

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上場以来連続増収増益、営業利益率も右肩上がりで、非常に美しい業績です。

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CFも美しい。営業CFが着実に増加。本業で稼いだ現預金を再投資に回し、着実にキャッシュを増やしています。こういう素晴らしい銘柄に投資したいものです。

このような中で発表された公募増資。発行済株式数の最大12%程度、資金調達額は27億円にのぼるそうです。

資金調達の過程でいやらしいなーと思うのは2点。

今春株主優待を発表してこれをきっかけにして株価が上昇気流にのったこと。そして昨年末の増配(20円→25円)と今回の増配(25円→30円)です。

ALサービスのROEは20%前後と極めて高い水準です。株主の期待利回りをざっくり計算するとPER15倍ぐらいなので6.67%(PERの逆数。CAPMとかWACCの計算は面倒なので簡略)とすると、配当に回すよりも内部留保して再投資に回した方が企業価値向上につながります。

またALサービスは無借金経営と財務体質は健全。株主資本コストよりも豊富なキャッシュと借入金による投資のほうが有利に働き、企業価値の向上に寄与できるはずです。

さらに今回の増資使途を見てみますと、平成28年5月までに直営店展開を目的とするようですが、その詳細が不明な国内首都圏23店舗、韓国に11店舗に20億円投資すると明記されています。それってこのタイミングで増資する必要があるのですかねえ。

増資自体は現預金などの資産が増えるので会社の価値に影響はありません。ただ、増資によって株主からの期待利回り(=株主資本コスト)は高まる一方で投下資本に対する利益率(ROIC)が向上しなければ、企業価値の低下を招くことになります。

借入金に頼らない理由を想定すると一般的には返済不能なリスクが高い事業に参入するとか将来的な成長を見込んだ大型投資を検討しているなど借りたカネを返済できない経営上のリスクが存在するなどが考えられます。増資は返済する必要がないので安心というわけです。
ALサービスの場合、成長の余地があるにしても、(上図のとおり)本業は極めて順調ですし、逆に上述のとおり海外展開などリスクの高い事業展開であると認識しているのであれば、そのリスクを投資家に押しつけていることになりはしないのでしょうか。

ALサービスの最適なD/E構成というのは事業を完全に理解していないので分かりませんが、これまでの経過を見ると、株価も高いしこの辺りで資金でも調達しとくかーと感じざるを得ませんね。

ワタシは経営者でもないですし、教科書的なことしか言えないのですが、もしも株主だったらこう思うだろうなーというのを趣くままに書いてみました。

ALサービス自体は、直営からFC中心に移行する過程の中で原価率はやや上昇していて、その分を販管費の削減で補っているようです。今後の食材の高騰や人件費などのコスト上昇リスクにどのように対処していくのか、個人的に注目していきたいと思っています。

なお、蛇足ですが、増資自体はレッキとしたシステムですし、新株に投資する投資家も存在する上で成り立っていること。株式投資は自己責任。その会社の経営方針とか経営陣の方策を批判するのはオゴリだと考えているので今回の増資について非難をしているわけではないということは付け加えておきたいと思います。



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